普段の呼び方は、苗字にさん付けが多い?

callあなたは家族や恋人、友人、あるいは職場の人たちをどのように呼んでいるだろうか?

また、自分のことをどんな風に呼ばれているだろう?

人の呼び方は、家族や友人関係、職場のカルチャーや雰囲気によって、また、呼ぶ人と呼ばれる人との関係や立場によっても異なる。

ファーストネームの呼び捨て、”ちゃんづけ”、苗字に”さん・くん”づけ、あだ名、役職や役割など、さまざまな呼び方があるし、同じ人との間でも、年齢や相手との関係性や立場の変化とともに呼び方が変わることもあるだろう。

 

自分が呼ばれた時に、呼び方によってどんな気分になるか、についても思い出してみてほしい。

例えば僕の場合、フルネームは、清水謙(しみずけん)だが、ざっと思い出せるものでも以下のようなバリエーションがあった。(呼び方 ・・・ その呼び方をする人)

  • 清水さん ・・・ 会社の同僚や後輩、顧客、取引先、さまざまな友人・知人
  • けんちゃん ・・・ 妻や家族、友人、昔の会社の同僚
  • けんくん ・・・ 実家の親兄弟、親戚
  • けんさん ・・・ 一部の友人・知人
  • しみけん ・・・ 友人、前職の会社の先輩・同僚
  • しみけんさん ・・・ 前職の会社の同僚・後輩
  • ケン ・・・ 昔の会社の先輩
  • ケンケン ・・・ 昔の会社の先輩とその奥さん
  • パパ ・・・ 息子

呼ばれて親しみを感じるのはファーストネームかあだ名だが、実際に多いのは苗字にさんづけだ。

毎回、こう呼んでほしいという確認を相手としている訳ではないので、自然とそうなったという事がほとんどだと思う。

あなたや周囲の人たちはどうだろうか。

 

ファーストネームで呼ばれると、女性は美しくなる!?

人の心身の状態は、どのように呼ばれるか、によっても大きく状態が変わることが知られている。

例えば、ファーストネームで呼ばれることによって女性が美しくなる、という研究もある。

化粧品メーカーのポーラが、HPで「Call Her Name」というタイトルで報告している。

これによると、普段ファーストネームではなく”ママ”や”母さん”などと呼ばれている女性は77%に上るのだとか。(見に覚えのある人も多いかもしれない)

そうした女性を夫がファーストネームで呼んだ時、美のホルモンと呼ばれる”オキシトシン”の体内濃度が平均15.9%増加したというものだ。

同サイトの動画に登場する女性の、照れながらも嬉しそうな表情を見ると、やはり一人の女性として認められる機会が、いかに日常で少なくなっているかがよく分かる。

また、最近の研究によると、オキシトシンは女性特有のものではなく男性でも分泌されるもので、幸福感や優しさ、親しみといった感情に作用することが分かってきたという。

名前の呼び方ひとつで、心も身体も変化するなんて、スゴいことだ。

 

本質は、個の尊重と、相手への親しみを伝えるということ

様々な効果があると言われても、慣れた呼び方を変えるのは、意外とハードルが高いのも事実。

また、全ての人に対してファーストネームの呼び捨てがよいかどうかは、相手との関係や組織の雰囲気によって異なる。

ある女性向けの調査では、職場でファーストネームで呼ばれることに対しては55%の人が望んでいないとの結果が出ている。一方で、IKEAやH&Mといった企業では、社長からメンバーまでがファーストネームで呼び合うことで、職場のフレンドリーで協力的な関係性をつくりだしている。

そこで、相手の呼び方にどういう意味があるのか考えてみたい。

呼び方問題の本質は、その人自身の存在をいかに認め尊重しているかということだ。

相手のことを、部長や課長、マネジャー、リーダーといった、役職というポジションを担う存在としてではなく、パパやママ、お兄さんやお姉さん、おじいちゃんやおばあちゃん、といった他の誰かにも当てはまる役割ではなく、個としての存在をきちんと見ているかということ。

 

そして、よい関係性を築きたいという気持ちや親しみを、呼び方によって相手に伝えているかということ。

苗字(姓)は、ラストネーム、ファミリーネームとも呼ばれ、家族としての名前だ。それに対して、ファーストネーム(名)は、ギブンネーム(Given name)とも呼ばれ、生まれてきたあなたに対して親が付けたもの。よりパーソナルであなた自身を指している。

つまり、ファーストネームで呼ぶということは、相手に対しより個としての存在を意識していることであり、より親密な関係を築きたいという意思表示にほかならない。

 

ちなみに、あだ名もその人に特有のもので、親しみを込めたものであればとても効果的だ。

つけられた経緯を共有しているコミュニティの中では、呼ぶ側の心理面でも仲間意識を高める効果もあるだろう。

初対面で集まったら、まずお互いの呼び方を決めるのはチームビルディングのためにもよい方法だ。

職場やコミュニティに新しい仲間が来たら、最初に本人とも相談して呼び方を決めるのは、迎え入れるための素敵な儀式になる。

 

今日から呼んでみよう

あなたは、自分が呼ばれたいように呼んでもらえているだろうか?あなたの周りの人はどうだろうか?

相手をどんな風に呼ぶかは、少しの勇気ときっかけで、明日から始められることだ。

ファーストネームで呼んでみる。あだ名を新しく決めてみる。

自分だけファーストネームやあだ名で呼ぶのが気恥ずかしいのなら、周りを巻き込んでみんなで呼び合うのもいい。

少なくとも、関係性を変えたいと思っている相手や、よいチームを作りたいという場合は、やり方を工夫してぜひ試してみてほしい。

少しだけ勇気がいるかもしれないが、相手の反応がどんな風に変化するか、楽しみだ。