自分の世界の狭さに気づく
ふとした時に、自分の活動している世界が狭いと感じ、漠然とした不安を感じたことはないだろうか。
- 友人と久しぶりに会って、世界を飛び回って仕事をしている話を聞き、その充実した様子を見た時
- 後輩・若手が、大きな視点から問題意識や夢を熱く語ったり、そのための活動をしているのを見た時
- テレビやWebメディアを通じて、巨大なプロジェクトに挑む人たちの必死の形相やその姿を見た時
忙しい日々の中では、一定のサイクルの中で仕事が回っていることが多く、そのサイクルの外を意識することは意外に少ない。今の仕事が忙しいほどにその傾向は強まる。走るスピードが速ければ速いほど、目的に以外の風景は目に入らないものだ。結局、ゆっくり景色を見られるのは、体を壊したりトラブルを抱えて否応なく立ち止まった時だったりする。
意識の高いビジネスパーソンは、社外の勉強会やセミナーに参加したり、ボランティアやプロボノ活動へ参加するなど、自分の視野を広げ力を磨く機会を意図的に作り出している。趣味に凝っている人もいるだろうし、仕事そのものが多様な人や場所に出会う仕事もあるだろう。
不安の原因は、自分と将来に関すること
こうした漠然とした不安の原因は大別して2種類あるように思う。
1つは自分自身に対するもの。
ひとつの事を長く取り組んできても、方向転換しながらだったとしても、なかなか見えてこないものだ。
- 自分の特徴や特技は何か?
- 自分が社会のため人のためにできる事は何か?
- 自分は何を大事にしたいのか?
- 譲れないことはなにか?
- なぜ自分はそのように思うのか?
2つ目は将来に対するもの。
見通しをクリアに持つことは難しいし、その中で自分の道を見定めることもまた難しいことだ。
- この先、社会・経済・政治はどのように変化するだろうか?
- そのことが自分にどんな影響を与えるだろうか?
- その時、どんな姿の自分でいたいだろうか?
- どこに住んで、誰と一緒に、どんな風に働き、遊びながら、暮らしているだろうか?
- 社会にどのような影響を与えているだろうか?
あなたは、こうした問いに答えられるだろうか。
どれも簡単に答えられるものではないし、正解がある訳ではないが、
その時々で自分なりに答えを見出すことや、そのやり方は持っておきたい。
自分の活動ポートフォリオを描いてみよう
そこで、先ほどの問いについて定期的に考える機会を持つことをお勧めする。
とは言っても、いきなり自分のこと・将来のことを考えるのはなかなか材料がなく難しいだろう。
そんな時は、まず今の足元から始める。現在の自分の活動フィールドを棚卸しすることから始めるのだ。
その上で、自分自身のこと、将来のことを考えるのが、順番としては入りやすい。
使用するフレームワークは下図のようなものだ。
図1:活動ポートフォリオのフレームワーク
Step1 「活動のポートフォリオ」
まずは、現在の活動領域を書き出すことから始める。
どんなテーマについて、どんなフィールドで活動しているか。
そこではどんなスキルを使って、どんな役割をどんな立場で担っているか。
あわせて、それぞれの配分を大まかに出してみる。
イメージがつかない場合のために、僕の活動領域を例として載せたので参考にしてほしい。(図2)
図2:活動ポートフォリオの例(筆者の場合)
Step2 「自分の価値観や性格・特性」と向き合う
次に、時間軸で言うと現在から過去に戻る。
現在の活動ポートフォリオを通じて、あらためて自分が何を大事にしているのか、
そこで磨いてきたスキルや経験、もともとの性格特性として持っているものは何か、ということについても再認識しておく。
これは嫌だ、ここだけは譲れない、と言うことも挙げておくと、より自分の中の基準が明確になるだろう。
Step3 「めざす姿」を描く
最後に、これから先のこととして「めざす姿」を考える。
めざす姿と言っても抽象度の高い、”世界平和”的なものではない。
いつ頃、どこで、誰と、どんな仕事をしているか、生活ぶりはどうか、といった具体レベルで考える。
環境変化については、あまり分析的に過ぎるのは、ここでの目的に合わないので可能な範囲でよいだろう。
以上が、”現在”に軸足を置き、そこでの活動を中心に考える「活動ポートフォリオ」によるアプローチだ。
やり方は、これに限ったものではないが、ぜひ試してみてほしい。
自分の中の不安や焦りを漠然としたものにしたまま放置することなく、ひとつずつ整理していくことによって、
少しずつ自分の過去~現在~未来がつながり、確かな日々を歩んでいけることを願っている。
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